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パナソニックAIS社のニュース・ビラ No.17

最高裁はワークライフバランスを無視した時代遅れの1・2審
判決を破棄し鈴木美晴さんの家庭状況を配慮した判決を!

労働契約法の制定は社会の要請
労使対等原則とワークライフバランス配慮義務

労働契約法3条は、労働契約の基本原理を定めています。そのうち、労使対等合意原則(1項)、信義誠実の原則(44項)、権利濫用禁止原則(5項)については立法当初から盛り込まれていたものであり、国会審議を経てこれらの原則に、均衡考慮原則(2項)とワーク・ライフ・バランス配慮原則(3項)が付加されました。これらの規定は労働契約の解釈の重要な原理として定められたものです。

ワーク・ライフ・バランスヘの配慮義務という規範の背景には、労働者の働き過ぎ(過労)の問題、及び、女性の就労と育児・介護の両立が困難であるとの問題などが社会問題化してきたことは疑いのないところであり、法解釈にあたつてもこうした社会状況の変化を無視することは適切ではありません。

ワーク・ライフ・バランス配慮原則(3項)は、労働契約の締結及び内容の変更に際して、ワーク・ライフ・バランス配慮原則に則さない契約条項そのものを規制する原理であり、さらに契約条項の解釈や、使用者の裁量権の行使を規制する規範となります。

配転を巡る労働契約の解釈にあたつても、こうした社会状況の変化に応じた視点が不可欠でありますが、東亜ベイント事件最高裁判決の言い渡しからすでに30年以上が経過しており、この間の社会状況の変化に即して労働契約法が制定され、労働契約における解釈原理が立法化されている以上、配転命令の有効性に関しては、裁判所としても新たな法律規範を踏まえた解釈を示す必要があります。

しかし、一審判決もそれを踏襲した高裁判決のいずれも、東亜ペイント事件最高裁判決以降に新たに成立した労働契約法の規定を全く省みず、またその立法の背景にある社会状況の変化に即した法規範を示していません。

家庭生活を揺るがす「転宅を伴う配転」には労働者の同意が必要

転宅を伴う配置転換は、まさにワーク・ライフ・バランスの配慮が問われる問題です。鈴木美晴さんは、パナソニックの工場では長年にわたつて製品の検査業務に従事していたのです。検査対象となる製品は変わつても、従前から培つた能力やノウハウを生かして検査業務に従事してきました。例えば、鈴木さんがかつて在籍していた工場(平成18年の京田辺工場オプト製造課)では、現在もなお当時と同じ業務が継続して存在しており、鈴木さんが稼働していた職場からも同僚ら何名かがこの工場に配転されています。

他方で、転宅を伴う配転を命じられると鈴木さんに代わつて高齢の両親と共に毎日を過ごし精神的に支える役割を担う者は他には存在していません。

そもそも、鈴木さんの家庭生活における役割も変化していくものであり、18歳で採用された当時と比較すると鈴木さんの家族生活の中での役割は大きく異なつています。ところが、鈴木さんが40年近く前の入社当時に差し入れた誓約書において就業規則にしたがつて配転に包括的に同意を与えているという事実をもつて、使用者であるパナソニックが包括的に配転命令権を有しているものと認め、そのうえで「業務上の必要がない」とか「他の不当な動機。目的がある場合」や「労働者にとつて通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を与える」といつた特別の事情がない限りは権利濫用にはあたらず、転宅を伴う遠隔地への配転命令も有効であるとの解釈は、ワーク・ライフ・バランス配慮原則に反していると言わざるを得ません。

そもそも、40年も前の採用時は独身の未成年であつた鈴木さんが配転を包括的に同意する就業規則の規定があることだけで、使用者によって転宅を伴う配転命令権を包括的に認めることは、生活拠点が変わる就労場所の変更であり、労働条件の大幅な変更であるし使用者が一方的に労働者の私生活を奪うことを許すことになります。

したがって、転宅を伴う配転命令は、 労働契約法3条1項(労働条件の変更時の対等合意の原則)及び3項(ワークライフバランス配慮原則)の規範に従えば、当事者の合意なくして、原則として許されないと解すべきです。

したがつて鈴木さんの同意なしに、申立人の家族責任を損なうことが明らかな転宅を伴う配転命令は許容されません。

パナソニツク(株)AIS社の転籍配転問題とは

2014年6月回路部品事業部のSAWデバイス事業(従業員179名)を会社分割して新会社スカイワークス・パナソニツクフイルターソリューシヨンズジヤバン(株)を設立し、8月に米国のスカイワークス社へ発行株の66%を譲渡。今年8月1日には残り34%も譲渡し、社名がスカイワークス・フイルターソリューシヨンズジヤパン(株)となりました。

新会社への転籍を拒否した30数名の中の一人、鈴木美晴さんが2015年5月大阪地裁へ遠隔地配転の撤回を求めて提訴。

東亜ペイント事件とは

東亜ペイント大阪本店に勤める労働者が名古屋支店への転勤命令を家庭の事情で拒否して解雇されたため転勤命令及び解雇無効を主張して提訴した事件。1審、2審は原告勝訴、最高裁で逆転敗訴(1986年)。

労働協約及び就業規則に転勤を命ずることができる旨の定めがあり、実際に転勤が頻繁に行われ、さらに入社時に勤務地を限定する旨の合意がなかった場合は、転勤命令は有効。(しかし、特に転居をともなう転勤は、労働者の生活に影響を与えるものであるから、これを濫用することは許されない業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合ても、転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合には権利の濫用になる、としている。)

最高裁はワークライフバランスを無視した時代遅れの1・2審判決を破棄し鈴木美晴さんの家庭状況を配慮した判決を! 最高裁はワークライフバランスを無視した時代遅れの1・2審判決を破棄し鈴木美晴さんの家庭状況を配慮した判決を!

関連裁判等の予定

パナソニック裁判 不当配転訴訟
  2017年11月9日に、上告受理申立てを行いました。次回期日は未定です。

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